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アレックス・ジャパンの読み物
CATEGORY: #設計
投稿日:2026.08.17
製品開発や試験評価の現場では、部品や構造物にどれだけの荷重が加わっているかどうか、正確に測定する場面が数多くあります。
この荷重や力を電気信号に変換し、数値として扱えるようにするセンサーが「ロードセル」です。
本記事では、ロードセルの仕組みと種類、主な用途に加え、測定値の信頼性に関わる精度と校正まで解説します。

ロードセルは、加えられた荷重や力を電気信号へ変換するセンサーで、荷重変換器とも呼ばれます。
内部では、荷重による部材のわずかな変形をひずみとして検出し、電気信号として取り出します。
ただし、ロードセル単体で荷重値が表示されるわけではなく、信号を増幅して数値化する機器と組み合わせて使われます。
ここでは、ロードセルの基本的な役割から信号を取り出す原理までを、以下のポイントに沿って見ていきましょう。
ロードセルは、荷重や力、質量などを電気信号へ変換するセンサーです。
荷重変換器と呼ばれる場合もあります。
「重さを測る部品」と理解されることもありますが、対象は質量に限りません。
押す力や引っ張る力、張力なども測定の対象となります。
たとえば、材料試験機では試験片に加わる力を、タンクの計量装置では内容物の質量に相当する荷重を検出します。
測定した値は、装置の動作や評価の判断に使われます。
充填装置であれば、設定量に達した時点で供給を止め、材料試験機であれば、荷重の変化から試験片の変形や破断の挙動を評価します。
数値として連続的に記録できるため、荷重の推移や試験ごとの比較にも利用することが可能です。
一般的なロードセルは、ひずみゲージを用いて荷重を検出します。
荷重を受けると内部の起歪体がわずかに変形し、貼り付けられたひずみゲージも同時に伸縮して、電気抵抗が変化します。
この抵抗変化をホイートストンブリッジ回路により、電圧信号として取り出すのが、ロードセルの基本的な仕組みです。
抵抗の変化はごく小さいため、一般的には複数のひずみゲージを用い、ホイートストンブリッジ回路を構成します。
ブリッジ回路に励起電圧(印加電圧)を加えると、荷重による抵抗値の変化に応じて微小な電圧が生じます。
出力の大きさは、mV/V(定格出力)で表されるのが一般的です。
これは、印加電圧1Vあたり、定格容量の荷重を加えたときに何mVを出力するかを示す指標です。
たとえば、定格容量200N・定格出力1.5mV/Vのロードセルに1Vを印加した場合、200Nの荷重で1.5mVが出力されます。
ただし、具体的な値は製品ごとに異なるため、仕様書での確認が必要です。
なお、静電容量式や圧電式など、ひずみゲージ以外の方式を用いるロードセルもあります。
ロードセルを取り付けただけでは、荷重の数値は得られません。
出力されるのは数mV程度の微弱な電圧であり、そのままでは読み取りや記録に使えないためです。
そこで、ロードセルにはアンプや指示計、データロガーなどの機器を組み合わせ、信号を増幅・処理し、荷重として表示・記録します。
この構成上、測定システム全体の性能は、ロードセル単体の仕様だけでは決まりません。
指示計の分解能や、信号を伝えるケーブルの状態も、測定値の精度に影響を与えます。
そのため、ロードセルは単体ではなく、周辺機器を含めた測定システム全体で選定することが重要です。

ロードセルには複数の分類方法があります。
機種を選ぶ際に基本となるのが、起歪体の形状と測定する荷重の方向です。
ここでは、この2つの分類を中心に、カタログや仕様書で確認したい項目も含めて、次の流れで解説していきます。
・形状による分類
・荷重方向による分類
・選定時に確認する項目
ロードセルは、荷重を受けて変形する起歪体の形状によって、種類が分けられます。
形状は、測定できる荷重の大きさや取付スペースに関わるため、機種を選ぶ際の選定の基準となります。
主な形状は次の4種類です。
| 形状 | 特徴 | 主な用途 |
| ダイヤフラム型 | 本体が円形で、高さを低く抑えやすい | 圧縮荷重の測定、設置高さに制限がある装置 |
| S字型 | S字形状で、圧縮と引張の両方に用いられる | 引張試験、疲労試験、吊り下げ状態での荷重測定 |
| キャニスター型 | 円柱形状で、大きな荷重の測定に向く | タンクやホッパーの計量、大荷重の測定 |
| ビーム型 | 板状で、曲げ荷重やせん断荷重の計測に用いられる | 台はかり、計量装置 |
実際の選定では、形状ごとの特徴を踏まえ、荷重の大きさや装置への取り付け方に合うものを選びます。
ロードセルは、測定する荷重の方向によっても分けられます。
押す力と引く力では起歪体に生じる変形が異なるため、製品がどの方向の荷重に対応しているかを確認する必要があります。
荷重方向による分類は、圧縮用、引張用、引張圧縮兼用の3種類です。
圧縮用は、上から押す力や物体を載せた際の荷重を測定します。
引張用は、吊り下げ荷重やワイヤーの張力など、引っ張る方向の測定に用いるタイプです。
引張圧縮兼用は、押す力と引く力の両方を1台で測定できるタイプです。
材料試験のように、引張と圧縮を切り替えて評価する場合は、引張圧縮兼用ロードセルが適しています。
一方、荷重の向きが一定の計量装置などでは、その方向に対応した製品を選びます。
製品ごとの対応方向は、仕様書で確認してください。
ロードセルを選ぶ際は、形状や荷重方向だけでなく、測定範囲や設置条件も確認します。
確認しておきたい主な項目は、次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
| 定格容量 | 仕様どおりの性能で測定できる最大荷重。想定する最大荷重や過負荷の可能性を考慮して選ぶ |
| 荷重の種類と方向 | 圧縮、引張、またはその両方のどれに対応しているか |
| 許容過負荷 | 定格容量を超える荷重が一時的に加わる可能性がある場合に確認する |
| 設置環境 | 屋外、水がかかる場所、高温・低温環境などで使用できる仕様か |
| 取付条件 | 本体の外形寸法、設置高さ、取付面、ボルト穴の位置などが装置に合うか |
これらはいずれも、ロードセルを取り付ける前に確認しておきたい項目です。
事前に取り付け条件が合っているかを確認することにより、容量不足や寸法の不一致による選び直しを避けられます。

ロードセルは、身近な計量機器から産業用の試験装置まで、幅広く使われています。
いずれの用途でも、荷重や力を数値として記録し、判定や評価の根拠として利用します。
とくに、材料試験や開発試験では、測定値が製品の強度評価や性能評価に直結します。
ここでは、計量や製品検査、材料試験などでの一般的な使われ方を確認した後、実機規模の試験や環境条件下での測定にも用いられる航空宇宙・防衛分野の荷重計測について解説していきます。
ロードセルは、荷重や質量を数値として扱う装置に広く組み込まれています。
測定値を判定や記録に使う場面であれば、業種を問わず活用できるためです。
代表的な用途は次のとおりです。
| 用途 | 主な内容 |
| 計量機器 | はかり、台はかり、タンクやホッパーの内容量管理 |
| 製品検査 | 製品重量の確認、規定量に達しない製品の選別 |
| 充填・供給装置 | 設定量に達した時点で供給を止める制御 |
| 材料試験 | 引張試験や圧縮試験、曲げ試験で試験片に加える力(試験力)を測定 |
| 衝撃・荷重試験 | 自動車の衝突試験、シートベルトに加わる引張荷重の測定 |
このうち材料試験では、測定した力と変位から材料の強度特性を求めます。
引張試験機や圧縮試験機の力計測系については、力計を用いた校正や検証の方法がJIS B7721に規定されており、試験結果の根拠となる測定値の信頼性が求められる分野です。
航空宇宙・防衛分野では、開発段階の試験でロードセルによる荷重計測が行われます。
実機や供試体に加わる力を測定し、設計で想定した強度や性能を満たしているかを検証するためです。
試験内容によっては、広い荷重範囲への対応や、温度・振動などの環境条件下での測定が必要になります。
実機や大型の供試体を使う試験には再実施に時間や費用がかかるため、ロードセルの容量や設置位置、計測機器の構成、データの収録条件などを試験前に決めておくことが重要です。
こうした試験では、試験計画の立案から計測機器と試験環境の準備、データの取得・解析まで、各工程を見据えて計測系を構成する必要があります。
社内で必要な設備や体制を確保することが難しい場合は、開発試験を専門とする受託事業者への委託も検討してみてください。

ロードセルの精度は、一つの数値だけで表されるものではありません。
非直線性やヒステリシスなど複数の誤差指標があり、これらは性能試験方法を定めた規格に基づいて評価されます。
実際の測定値は、取り付け状態や周辺機器の特性にも左右されます。
ここでは、カタログの仕様をどう読み解くかという観点から、次の内容を説明します。
カタログに記載される誤差指標は、それぞれ異なる測定条件で生じるずれを表しています。
荷重を増やす過程で生じるずれ、増減を繰り返したときの差、荷重をかけ続けたときの変化など、着目する条件は指標ごとに異なります。
主な指標は次のとおりです。
| 指標 | 内容 |
| 非直線性 | 校正曲線の無負荷点と定格負荷点を結ぶ直線からの最大の隔たり。荷重を増加させる過程で測定する |
| ヒステリシス | 同じ荷重に対して、荷重を増やすときと減らすときに生じる出力の差 |
| 繰返し性 | 同じ試験荷重を繰り返し加えたときの出力のばらつき |
| クリープ | 一定の荷重を加え続けたときに生じる出力の変化 |
| 温度影響 | 温度変化によって生じる零点や出力の変動 |
これらは、測定条件によって現れ方が異なります。
荷重を一方向に増やすだけの測定と、増減を繰り返す測定では、影響する指標が変わってきます。
測定方法に照らして、どの指標を重視するかを判断しましょう。
ロードセルの誤差指標は、規格に基づく試験方法で評価されます。
各社が独自の条件で測定した値では、製品間の比較ができないためです。
国内では、電気式ロードセルの性能試験方法として、JIS B7602が定められています。
国際的には、法定計量機関であるOIMLが国際勧告を制定しており、非直線性とヒステリシスを合わせた誤差が、規定の温度範囲内で定められた限界に収まるかどうかで評価する方式が採られています。
仕様の読み取りでは、次の2つの用語を区別しておきましょう。
仕様を保った状態で測定できる最大の荷重。
無負荷時と定格容量の荷重を加えたときの出力の差。mV/Vで表される。
両者はいずれも仕様書の基本項目ですが、示している内容は異なります。
カタログの仕様どおりの測定値が得られるかどうかは、取り付け方や測定系の構成にも左右されます。
ロードセル単体の性能と、測定システム全体の精度は分けて考えなければなりません。
取り付け時には、荷重が想定した方向から加わるようにします。
荷重の中心がずれる偏荷重や横方向の力は、仕様どおりの精度を損なう要因です。
複数のロードセルで荷重を支える場合は、各ロードセルへの荷重配分にも注意しましょう。
計量容器の熱膨張や、信号を伝えるケーブルの温度による抵抗値変化も、測定値に影響する場合があります。
測定精度を確保するためには、ロードセル本体の温度特性だけでなく、設置場所の温度環境と測定系の構成を併せて検討することが必要です。
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校正は、ロードセルの出力と基準となる荷重の関係を確認する作業です。
一般校正やJCSS校正などの方法があり、必要とされるトレーサビリティに応じて使い分けます。
また、測定結果はロードセルの校正状態だけでなく、設置方法や計装機器、データ取得の条件にも影響されます。
ここでは、ロードセルの校正について次の流れで解説します。
・校正の目的
・一般校正とJCSS校正・トレーサビリティ
・校正だけでなく設置・計装・データ取得も確認する
校正の目的は、基準となる荷重に対する出力のずれを把握し、測定結果を適切に評価するための情報を得ることです。
測定器の性能そのものを改善する工程ではありません。
校正が必要となる時期は、使用状況によって異なります。
長期間使用した後や、定格容量を超える荷重が加わった可能性がある場合には、出力特性が変化していないかを確認します。
設置場所や取り付け条件を変更したときも同様です。
試験結果を製品評価に用いる場合は、測定前に校正の状態を確認しておきましょう。
校正によって得られるのは、基準荷重と出力の対応関係です。
ずれが確認された場合は、その値を測定値の補正に反映し、必要に応じて機器を調整・交換します。
校正には一般校正とJCSS校正があり、校正証明書の位置づけとトレーサビリティの示し方が異なります。
取引先や監査で求められる証明の内容に応じて選びます。
| 項目 | 一般校正 | JCSS校正 |
| 位置づけ | 校正事業者が定めた手順と標準器を用いて実施する校正 | 計量法に基づいて登録された事業者が、登録範囲内で実施する校正 |
| 証明書 | 校正証明書。記載内容や添付書類は事業者によって異なる | JCSS標章が付された校正証明書 |
| トレーサビリティの示し方 | 使用した標準器の校正証明書やトレーサビリティ体系図などで確認する | JCSS標章によって、国家計量標準へトレーサブルであることを示せる |
JCSSは、校正事業者登録制度と計量標準供給制度から構成される、計量法に基づく制度です。
登録事業者は、計量法関係法令およびISO/IEC 17025の要求事項への適合について、審査を受けています。
ロードセルの校正は、登録区分の「力」に含まれます。
一般校正を依頼する場合は、校正範囲や使用する標準器、測定の不確かさ、必要な証明書類を事前に確認しましょう。
なお、参照する規格は校正の対象によって異なり、JIS B 7602は一軸試験機の静的検証に使用するものを除き、力計の静的な校正方法を規定した規格です。
また、質量計用ロードセルを除く力変換器についても、静的な性能試験方法を規定しています。
一軸試験機の検証に使用する力計については、JIS B 7728が校正方法を定めています。
測定値の信頼性は、校正だけで確保できるものではありません。
校正で確認できるのは、その時点における出力と基準荷重の関係です。
実際の測定結果には、ロードセルの取り付け状態や測定システムの構成も影響します。
また、校正を依頼する際は対象範囲も確認します。
ロードセル単体の校正と、指示計やアンプを含めた組み合わせ校正では、確認できる範囲が異なるためです。
さらに、システム全体の状態を確認する場合は、ロードセルと計装機器を組み合わせた校正も検討します。
運用時に確認したい項目は次のとおりです。
| 確認項目 | 確認内容 |
| 取付条件 | 荷重が想定した方向から加わっているか、偏荷重や横荷重が生じていないか |
| 温度環境 | 設置場所の温度変化が、零点や出力に影響していないか |
| 計装機器 | 指示計やアンプの設定、ケーブルの接続や状態に問題がないか |
| データ取得 | 記録方法やサンプリング条件が、試験の目的に合っているか |
試験内容によっては、必要な計測機器や試験環境、人員を社内だけで確保することが難しい場合もあります。
その場合は、開発試験を専門とする受託事業者への委託を検討しましょう。
アレックス・ジャパンでは、試験計画の立案から計測機器・試験環境の準備、データ取得・解析までを一貫して対応しています。
本記事では、ロードセルの仕組みや種類、主な用途に加え、精度に影響する要素と校正の考え方を解説しました。
要点は以下のとおりです。
ロードセルを用いた荷重測定では、機種の性能だけで測定精度が決まるわけではありません。
取り付け条件や温度環境、指示計を含めた測定システムの構成、校正の状態も測定結果に影響します。
アレックス・ジャパンでは、航空宇宙・防衛分野の開発試験において、試験計画の立案から計測機器・試験環境の準備、試験の実施、データ取得・解析、評価レポートの作成まで一貫して対応しています。
荷重計測を伴う試験評価についてお悩みの際は、お気軽にご相談ください。
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