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CATEGORY: #試験・計測
投稿日:2026.08.17
材料や部材は、一定の荷重が長期間かかり続けると、時間とともにわずかずつ変形が進み、やがて破断に至ることがあります。
この現象が「クリープ」です。
高温環境で長期間使用される部品では、短時間の強度試験だけだと、時間の経過に伴う変形や、長期的な破断特性を十分に評価できません。
そこで、評価目的に応じて設定した温度と荷重を長時間保持し、時間とともに進む変形や破断までの時間を測定するクリープ試験が用いられます。
ただし、適用する規格は材料によって異なり、JISとASTMのどちらを参照するか、クリープ試験とクリープ破断試験をどう使い分けるかで迷う場面もあるでしょう。
そこで本記事では、金属材料のクリープ試験を中心に、クリープ試験の定義から、荷重・温度・時間を管理する試験方法、JIS・ASTMといった規格、クリープ破断試験との違い、そして試験の委託を検討する際に確認したいポイントまでを解説します。

クリープ試験は、所定の温度と荷重を長時間保持し、時間の経過に伴う変形量や、必要に応じて破断までの時間を、規格に沿った条件で測定する試験です。
短時間で強度を調べる引張試験とは、測定する対象と試験に要する期間が異なります。
まずは、クリープという現象そのものと、長期使用部材で評価が求められる理由を押さえていきましょう。
クリープとは、材料に一定の応力と温度が加わり続けたとき、時間の経過とともにひずみが増大していく現象です。
実際の部材では、温度や応力が変動する条件でも同様の変形が生じるため、試験ではこれらを設定した値に保持して測定します。
この現象で注意したいのは、短時間の引張試験では降伏に至らない応力でも、温度や保持時間によって変形が進行する点です。
高温下で使用される配管や締結部では、設計時の応力が許容範囲内でも、長時間の使用によって寸法が変化したり、破断へ至ったりすることがあり、時間の影響を考慮した評価が必要となります。
長期間にわたって高温と荷重を受ける部材では、クリープによる変形や破断の可能性を設計段階で考慮する必要があります。
短時間の引張試験で得られる引張強さや降伏点は、荷重を加えた時点での強度を示す値です。
一方、クリープ試験では、一定の応力を長時間保持したときの変形や破断特性を評価します。
発電設備の高温部材や航空機エンジンの耐熱部品のように、高温環境で長期間使用される用途では、クリープ試験で得られたデータが材料選定や余寿命評価などに活用されます。

クリープ試験では、試験片に荷重をかけたまま所定の温度を保持し、時間とともに進むひずみを連続して測定します。
なかでも、荷重、温度、試験時間は主要な条件です。
所定の範囲から外れると、試験条件間の比較や長時間側への評価に影響するため、試験条件を一定に保つことが重要です。
ここでは、荷重の掛け方から結果の読み方、温度域の目安までを順に見ていきます。
金属材料のクリープ試験では、試験片に一方向の引張荷重を加え続ける単軸引張方式が一般的です。
丸棒や板状の試験片を加熱炉内で所定の温度に保ち、てこ機構などを介して、一定の荷重を加えます。
単軸引張方式は、応力状態を設定しやすく、同一条件下で材料間のクリープ特性を比較しやすい方法です。
試験中は伸び計を用い、時間の経過に伴う伸びやひずみを連続的、または一定間隔で測定します。
破断まで試験を続ける場合は、破断時間や破断後の伸び、絞りも測定対象となります。
また、評価対象や使用条件によっては、圧縮荷重を加える試験や、管状試験体に内圧を加える試験が行われることもあります。
クリープ試験の結果は、横軸に時間、縦軸にひずみを取ったクリープ曲線として表されます。
金属材料の典型的なクリープ曲線は、遷移クリープ、定常クリープ、加速クリープの3段階に分けて説明されます。

各段階では、ひずみの進み方、つまりクリープ速度の変化に違いがあります。
| 段階 | ひずみ速度の変化 |
| 遷移クリープ | 荷重直後から次第に減少していく |
| 定常クリープ | ほぼ一定の値を保つ |
| 加速クリープ | 増加に転じ、破断へ向かう |
クリープ速度が最も小さくなる値は「最小クリープ速度」と呼ばれ、典型的なクリープ曲線では、定常クリープの領域でほぼ一定の値を示します。
ただし、材料や試験条件によっては、明瞭な定常領域が現れない場合もあります。
最小クリープ速度や破断時間は、クリープ特性を評価する代表的な指標として用いられます。
金属材料では、クリープが問題となり始める温度の目安として挙げられるのが、絶対温度で表した融点の約3分の1から2分の1以上という指標です。
融点の異なる材料では、同じ絶対温度でもクリープの進みやすさが異なるため、融点に対する比で示されます。
ただし、実際にクリープを考慮すべき温度は、材料の種類、応力、使用時間によって異なります。
鉄鋼材料では、鋼種や使用時間によって差がありますが、概ね400℃以上でクリープの検討が必要です。
高温部材の具体例としては、発電設備のボイラ配管やタービン部品、化学プラントの圧力容器などが挙げられます。
航空宇宙分野では、ジェットエンジンやガスタービンの高温部にニッケル基超合金が用いられ、内部の空冷や遮熱コーティングと組み合わせることにより、燃焼ガスの温度より低い金属温度に保ちながら使用されます。

クリープ試験の方法は、対象材料ごとに規格として定められています。
金属材料では、日本産業規格のJIS Z 2271と、米国のASTM E139が代表的な規格です。
いずれも、時間とともに進む変形の測定と、破断までの時間の測定を対象としています。
ここでは、規格の内容、規格が定める2種類の試験の違い、他材料の規格との関係について、以下の流れで説明します。
金属材料のクリープ試験では、JIS Z 2271「金属材料のクリープ及びクリープ破断試験方法」が代表的な規格として用いられます。
この規格は、クリープ試験の方法と、規定された温度でのクリープ伸びおよびクリープ破断時間の測定について定めており、ノッチ付き試験片を用いた応力破断試験も対象です。
米国規格では、ASTM E139が同じ領域を扱います。
一定温度・一定引張荷重の条件下で、時間の関数としての変形量と、破断までの時間を測定する方法を規定し、試験装置に求められる要件も示しています。
試験を実施する前には、製品の仕様書や取引先からの要求を確認しましょう。
また、規格は改正されるため、適用時には発注仕様や契約で指定された年版の確認も必要です。
指定された規格と異なる条件で試験すると、発注者の要求を満たさず、追加の試験が必要となる場合があります。
JIS Z 2271とASTM E139は、いずれもクリープ試験とクリープ破断試験の両方を規定しています。
どちらの試験も同じ装置と試験片を使用します。
両者の異なる点は、測定の目的と記録するデータです。
| 項目 | クリープ試験 | クリープ破断試験 |
| 主な測定対象 | 時間の経過に伴う伸び・ひずみ | 破断までの時間 |
| 得られるデータ | クリープ曲線、クリープ速度 | 破断時間(必要に応じて破断後の伸び・絞り) |
| 試験の終了 | 所定の時間やひずみに達した時点、または破断まで | 破断まで継続 |
両者は補完的な関係にあり、設計上の基準によって使い分けられます。
変形量を一定値以下に抑えて使用したい場合はクリープ試験のデータを、破断せずに使用できる期間を確認したい場合はクリープ破断試験のデータを参照しましょう。
JIS Z 2271は、国際規格であるISO 204を基に、国内で用いるための変更を加えて作成された規格です。
海外規格に基づく試験結果と比較する場合は、適用した規格の年版や、JISとISOの技術的な相違点を確認します。
クリープ試験の規格は、対象とする試験や材料によっても分かれます。
主な対応は以下のとおりです。
| 対象 | 代表的な規格 |
| 金属材料の単軸クリープ・クリープ破断・応力破断試験 | JIS Z 2271、ASTM E139 |
| ノッチ付き試験片による破断時間試験 | ASTM E292 |
| 樹脂材料 | JIS K 7115(引張クリープ試験)、JIS K 7116(3点曲げクリープ試験) |
| コンクリート | JIS A 1157(圧縮クリープ試験) |
ASTM E292では、ノッチ付き試験片を用い、破断までの時間を評価する試験方法を扱います。
参照する規格が定まれば、試験片の形状や試験時間といった具体的な条件の検討に進めます。

ここまで、クリープ試験の仕組みや適用される規格について解説しました。
実際にクリープ試験を実施する際は、自社設備で実施する方法と、外部の試験機関へ委託する方法があります。
ここでは、外部へ委託する前に確認しておきたいポイントをご紹介します。
依頼前に押さえておきたい点は、次の3つです。
クリープ試験の試験時間は、評価目的によって異なります。
長期特性を取得する試験では、数千時間から数万時間に及ぶことも珍しくありません。
数万時間は年単位に相当し、その間は試験機と加熱炉を継続して使用します。
国内の研究機関では、数十年規模の長期試験も継続されています。
なお、試験中は所定の温度と荷重を安定して維持しなければなりません。
温度制御が乱れたり、途中で試験が中断されたりすると、取得したデータの連続性が失われ、再試験につながる場合があります。
試験機を長期間使用するため、社内で実施する場合は、設備の稼働計画や運用体制の維持が課題になります。
こうした理由から、クリープ試験を試験機関へ委託するケースも少なくありません。
委託する際にまず整理したいのは、何を明らかにしたいかという評価目的です。
変形量を一定の範囲に抑えて使用したい場合と、破断せずに使える期間を確認したい場合とでは、参照するデータが異なります。
評価に用いるデータは、前者ではクリープ試験で得られる最小クリープ速度やひずみの推移、後者ではクリープ破断時間です。
適用規格も、金属であればJIS Z 2271やASTM E139、樹脂であればJIS K 7115といった具合に、材料と要求仕様に応じて決まります。
試験は、実際の使用条件に近い条件で実施する場合もあれば、期間短縮のために高温・高応力の加速条件を用いることもあります。
加速条件で得た結果を実使用条件へ適用する際は、外挿方法や破壊機構の違いを考慮しなければなりません。
どの条件で試験するかは、評価目的や要求仕様を踏まえ、試験機関と相談しながら決めていきましょう。
試験機関へ相談する際は、試験の実施だけでなく、条件設定やデータ解析、報告書作成まで対応しているかの確認が重要です。
クリープ試験は、試験計画の立案から、計測機器と試験環境の準備、試験の実施、データ取得・解析、評価レポートの作成まで、一連の工程で進みます。
そのため、どこまで対応してもらえるかによって、委託後の進め方が変わります。
アレックス・ジャパンは、航空・宇宙・防衛といった高信頼性が求められる分野で、試験評価プロセス全体を支援しています。
また、米軍規格MIL-STD-810をはじめとする過酷環境を想定した試験にも対応可能です。
材料の長期的な変形特性や破断特性の評価について、試験条件や計測方法が定まっていない段階でも、ぜひお問い合わせください。

本記事では、クリープ試験の定義から、荷重・温度・時間を管理する試験方法、JIS・ASTMといった規格、クリープ破断試験との違い、そして試験の委託を検討する際に確認したいポイントまでを解説しました。
要点は以下のとおりです。
クリープ試験は、評価目的に応じて参照するデータが異なり、適用する規格も材料や要求仕様によって分かれます。
加えて、長期にわたる試験期間と安定した温度・荷重の管理が求められるため、条件設定の段階から試験機関と相談しながら進めることが、評価目的に応じた試験計画を立てるうえで重要です。
アレックス・ジャパンは、航空・宇宙・防衛といった高信頼性が求められる分野で、試験計画の立案から計測機器・環境の準備、試験実施、データ取得・解析、評価レポートの作成とフィードバックまでを一貫して支援しています。
クリープ試験の計画や評価の進め方でお悩みの際は、お気軽にお問い合わせください。
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