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アレックス・ジャパンの読み物
CATEGORY: #設計
投稿日:2026.07.27
センサが捉えた連続的な信号を正確に扱い、デジタル化できない領域を担うのがアナログ回路です。
アナログ回路で精度やS/N(信号対雑音比)を損なうと、後段のデジタル処理では元に戻せません。
そのため、アナログ回路の設計品質が、計測系全体の性能を決めます。
本記事では、基礎となるオペアンプ・フィルタ・ADコンバータから、ノイズ・グラウンド・電源設計、高精度計測回路の要件までを解説します。
アナログ回路は、温度や圧力、振動といった物理量をセンサが電圧へ変換し、連続的な信号として扱います。
この信号は微弱で、扱い方を誤ると後段のデジタル処理では元の値を復元できません。
基本となるのは、信号を増幅するオペアンプ、必要な帯域だけを通すフィルタ、デジタルへ橋渡しするADコンバータの3つです。
各ブロックの設計が、信号の精度とS/Nを左右します。
まず、以下のポイントに沿って全体像をつかんだうえで、各ブロックの役割と設計のポイントを順に確認していきます。
アナログ回路の役割は、温度・圧力などを測定するセンサが出す連続的な微小信号を、後段で扱える形へ増幅・処理することです。
ひずみゲージや熱電対の出力はmV級と微弱なため、そのままADコンバータへ渡せば分解能が足りず、信号は雑音に埋もれてしまいます。
そこでアナログ回路で増幅し、不要な帯域を削ってからデジタル回路へ渡す処理が必要となります。
ここでの増幅率やノイズ抑制を誤ると、後段で分解能の高いADコンバータを使っても、ノイズに埋もれた信号成分は元に戻せません。
オペアンプは、入力端子間の微小な電圧差を増幅する基本的なアナログ素子です。
代表的な増幅回路として、反転増幅回路と非反転増幅回路があります。
負帰還(出力の一部を反転入力側へ戻す処理)をかけると、反転入力と非反転入力がほぼ同電位に保たれます。
この状態が仮想短絡(イマジナリショート)です。
仮想短絡が成り立つと、ゲインは抵抗比だけで決まり、非反転増幅では1+Rf/R1、反転増幅では−Rf/R1と表せます。
ただしこれは開ループゲインが十分大きいときの近似です。
実際の素子には入力オフセット電圧やバイアス電流があり、微小信号ほど誤差を無視できません。
設計時には、理想式に実デバイスの誤差を見込む必要があります。
フィルタは、必要な帯域だけを通し、不要な周波数成分を抑える回路です。
ADコンバータは連続信号を一定間隔で標本化して数値へ変換しますが、サンプリング周波数の半分(ナイキスト周波数)を超える成分が残ると、折り返し雑音(本来とは違う低い周波数の信号)が生じます。
折り返し雑音は、後段では本来の信号と区別がつきません。
そこで前段にローパスフィルタ(アンチエイリアシングフィルタ)を置き、ナイキスト周波数より高い成分を減衰させます。
帯域外ノイズの除去も同時に担います。
この前処理を行うことで、サンプリング前に不要な成分を取り除き、ADコンバータでの変換後も信号の精度を保つことができるのです。

微小なアナログ信号は、わずかなノイズでも測定値に影響を与えます。
ノイズは外来の電磁波だけでなく、電源ラインやグラウンドの引き回しからも混入します。
ノイズを除去するには、発生源と混入経路を見極め、グラウンドと電源の設計で根元から抑えることが必要です。
本章では以下のポイントに沿って、混入経路の把握から、グラウンド・電源・配線の具体策までを順に確認していきます。
ノイズは、伝わり方によって伝導ノイズと放射ノイズの2つに大別できます。
伝導ノイズは電源ラインや信号ラインを通って伝わり、2本の線を逆向きに流れるディファレンシャルモードと、同じ向きに流れるコモンモードに分かれます。
放射ノイズは電磁波として空間を伝わります。
混入経路は、配線間の誘導結合、基板とアース間の静電結合、グラウンド配線や電位差による共通インピーダンス結合などです。
例えば微小信号の配線を電源ラインと並走させると、結合でノイズが乗ります。
正しくノイズを抑制するために、発生源と経路を見極めることが重要です。
グラウンド設計のポイントは、基準電位を安定させ、回路間に不要な電位差を作らないことです。
複数の回路でグラウンド配線を共用すると、配線インピーダンスに電流が流れて電位差が生じ、微小信号にノイズとして重なります。
これを抑える考え方が1点接地です。
基準となる接地点を1か所に設け、大電流と微小信号のリターン電流が同じ経路を流れないようにします。
ただし、1点接地が常に最適とは限りません。
直流から低周波では有効ですが、高周波では配線インダクタンスや寄生容量の影響が大きくなるため、効果が得られにくくなります。
高周波回路では、ベタグラウンドや多点接地の方が適している場合があります。
用途や周波数帯、回路規模に応じて適切な方式を選択することが重要です。
電源系と配線では、ノイズを発生源の近くで抑え、信号への結合を減らす設計が有効です。
ICが高速で動くと電源電流が急変し、電源とグラウンドに電圧変動が現れます。
そこでバイパスコンデンサ(デカップリングコンデンサ)をICの電源・GND端子間へ近接配置します。
これは、ICが瞬間的に必要とする電流を局所的に供給し、電源インピーダンスを下げられるためです。
配線側では、信号線や帰線をツイストペアにすると、2線が作るループ面積が小さくなり、磁界結合による誘導ノイズを減らせます。
外来ノイズは両線へ同相で乗るため、差動受信で打ち消せます。
部品の近接配置と配線形状によって、ノイズの影響を受けにくくできるのです。

センサが出力する信号は微弱で、そのままでは計測に使えません。
アナログ回路での信号処理は、この微小な差動信号を増幅し、ノイズを抑えて、ADコンバータが扱えるレベルへ引き上げる役割を担います。
その中核となるのが計装アンプ(インスツルメンテーション・アンプ)です。
高い入力インピーダンスと高いCMRR(同相信号除去比)を備え、大きなコモンモード電圧やノイズの中から、微小な差動信号だけを取り出します。
航空試験用の計測のように、幅広い温度帯で高精度な計測が必要な用途ほど、この設計力が問われます。
ここでは以下のポイントに沿って、信号処理の流れから、計装アンプの要件、そして航空試験などで求められる条件までを順に確認していきます。
センサの信号処理は、微小な差動信号を段階的に増幅・フィルタリングする経路(シグナルチェーン)として組み立てます。
センサ出力は数mV程度と小さく、同相ノイズや帯域外成分を含むことがあります。
そのままADコンバータへ渡すと、入力範囲を有効に使えず、ノイズや量子化誤差の影響が大きくなります。
まず計装アンプで同相ノイズを抑えながら差動信号を増幅し、次にローパスフィルタで帯域外ノイズや折り返し成分を低減し、最後にADコンバータで数値化するのが一般的な流れです。
各段は前段の信号品質を引き継ぐため、上流ほど誤差の影響が大きくなります。
計装アンプは、大きな同相電圧の中から微小な差動信号だけを高精度に取り出す専用アンプです。
一般にはオペアンプ3個と抵抗で構成し、外付け抵抗1本でゲインを設定できます。
計装アンプの特徴は以下の3点です。
・高入力インピーダンスにより、信号源インピーダンスの影響を受けにくくなる。
・高CMRR(同相信号除去比、両入力に共通して乗る成分を除去する能力)で、コモンモードノイズを抑制できる。
・低オフセット・低ドリフトにより、温度変化による誤差を小さく保てる。
計装アンプはブリッジ型のひずみセンサや圧力センサなど、微小差動信号の計測で広く使われています。
航空試験用の計測回路は、地上用途よりも厳しい環境下で精度を維持することが求められます。
飛行中や試験時の環境では、温度変化、振動、電磁的な外乱が大きく、わずかな誤差やドリフトが評価結果に影響します。
試験工程の手戻りには多くの費用と時間がかかるため、計測回路には高い安定性と信頼性が必要です。
具体的には、以下の3点です。
・広い温度範囲で特性変動を抑える低ドリフト性
・微小信号でも高いS/Nを維持する低ノイズ設計
・長時間の連続動作でも精度を維持する長期安定性
航空機センサ向けの計装アンプでは、温度変化や振動、電磁的な外乱の影響を抑えながら、微小信号を安定して増幅できる設計が、要求性能を満たすうえで重要となります。

高精度・低ノイズのアナログ回路や計測回路は、設計の難度が高く、内製だけで安定させるのは簡単ではありません。
オペアンプや計装アンプの選定、ノイズ・グラウンド・電源の作り込み、試験による検証まで、求められる知見が幅広いためです。
外注先を選定する際は、低ノイズ設計や計測・センサ信号処理の実績、要求精度や環境条件への対応力を確認することが重要です。
設計から解析、試験までを一貫して任せられる相手なら、工程間の手戻りを抑えながら品質を確保できます。
ここでは以下のポイントに沿って、内製の難しさ、外注先を選ぶ判断軸、そして一貫対応で得られる利点までを順に確認していきます。
高精度・低ノイズのアナログ設計は、内製だけで安定した品質を確保するのが難しい領域です。
求められる知見が、素子選定、ノイズ対策、グラウンド設計、電源設計、試験による検証まで広く及ぶためです。
特に、社内に専任の技術者や評価設備が十分にない場合、次のような課題が発生しやすくなります。
・ノイズの原因切り分けに時間がかかる
・解析結果を試験で十分に裏付けられない
・試作と修正を繰り返し、工数が増える
・設計変更によりリードタイムが長くなる
このように、社内のノウハウや経験が限られている段階では、設計から検証までをすべて内製で完結させる負担が大きくなります。
外注先は、実績と対応範囲を基準に選定します。確認すべきポイントは、低ノイズ・高精度のアナログ回路や計測回路の設計実績、センサ信号処理の経験、要求精度や使用環境への対応力です。
| 確認項目 | 見るべき内容 |
| 設計実績 | 低ノイズ・高精度のアナログ回路や計測回路の実績があるか |
| 信号処理の経験 | センサ信号処理や微小信号の扱いに慣れているか |
| 環境条件への対応 | 温度・振動などの使用環境を考慮できるか |
| 検証体制 | 設計だけでなく、解析や試験まで対応できるか |
| 対応範囲 | 設計から検証まで一貫して任せられるか |
実績のある外注先であれば、要件定義や仕様調整を進めやすく、工程間の手戻りも抑えやすくなります。
一方で、設計と試験の窓口が分かれている場合、原因の切り分けや責任範囲があいまいになりやすいため注意が必要です。
検証まで一貫して任せられる体制があるかどうかは、外注先を選定するうえで重要な基準になります。
アレックス・ジャパンは、電気電子設計から解析、計装、試験までを一貫して支援します。
航空宇宙・防衛分野で培った技術をもとに、高精度・低ノイズが求められる回路の設計と、その妥当性を確かめる試験・計測を同じ体制で進められます。
設計と試験の窓口が一つにまとまるため、工程間の手戻りを抑えながら品質を確保できます。
・ノイズ対策で苦戦している
・解析の結果を試験で裏付けたい
・設計と試験をまとめて任せたい
こうした課題をお持ちなら、アレックス・ジャパンの技術サービスをぜひご検討ください。
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本記事では、アナログ回路設計の基礎から、ノイズ・グラウンド・電源の作り込み、高精度計測回路の要件までを解説しました。
要点は次の5つです。
アナログ回路設計は、基礎の理解だけでなく、ノイズや環境条件を織り込んだ作り込みと、試験による裏付けまでが品質を決めます。
高精度・低ノイズの回路や、航空試験用の計測系で課題を抱えているなら、設計から解析、実機での試験・計装までを一貫して任せられる体制が近道になります。
アレックス・ジャパンは、航空宇宙・防衛分野で培った技術で、設計から試験までを同じ体制で支援します。
まずはお気軽に下記よりお問い合わせください。
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